抑止力評価の現場評価事例
各地の現地圃場土壌を送付していただき、抑止力の評価を行っている(橋本、2022)。いくつかの事例及び抑止力が測定できない例外的な事例も併せて紹介する。
- 健全土壌と発病土壌の事例
健全土壌と判断された圃場、明らかに病害の発生が確認された圃場、軽度の病害発生が認められる圃場、病害発生は見られないものの、生産者からの聞き取りで、やや生育が悪化していたり、土壌病害ではないが虫などの発生が多く、作物が弱りやすい環境にあるなど注意した方が良いと判断される事例などもある。抑止力と現場の状況を勘案し、信号の色に倣って、青色(安全)・黄色(要注意)・赤色(危険)にグループ分けしてみた(図3)。青色(安全)のグループを抑止力70以上、黄色(要注意)のグループを、20以上70未満、赤色(危険)を20未満とした。しかし、抑止力が低くても病原菌の侵入がなければ病害発生は起こらない。黄色(要注意)グループは、実際に発病している土壌もあれば、発病していない土壌も混在している。黄色グループはさらに細分化することを検討中だが、抑止力40~60の領域は、発病と未発病が混在する領域であり、より多くの事例を集めていく必要がある。あくまでも病害発生の危険度が高いか低いかの指標なので、生産者へ話す場合には、誤解されないよう十分に注意が必要である。
また、土壌は、黒ボク土、褐色森林土、赤黄色土、灰色低地土など様々であり、有機物含量、土壌微生物の数量・多様性、センサー応答等も異なるため、今後ともより多くの事例を積み重ねていく必要がある。
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